電気通信主任技術者 受験体験記

電気通信主任技術者のススメ 管理人のまったり様より、受験体験記をいただきましたのでご紹介します。

(レイアウト編集は管理人が行っています。)

自己紹介

私の職種は「通信技師」と呼ばれており、主に「電話交換機システム」と「交換網」の構築業務に携わっていて、最近では音声通信系のサーバー・システムの構築などもやっています。

受験動機

当時は上司からの評価が欲しいがために、いくつか資格取得をしました。

ベンダー系の資格や国家資格を複数取得しましたが、その中で工事担任者のAI/DD総合種を取得し、同資格取得によって電気通信主任技術者の科目免除が受けられることを知って受験を決意。

正直なところ、電気通信主任技術者の資格がどのような資格なのかも分っていませんでしたが、工事担任者AI/DD総合種を取得した次のステップ程度の感覚での受験でした。

受験前知識

私の最終学歴は「高卒」です。(その後専門学校に行きましたが、社内的に関係の無い専門学校だったので学歴としてカウントしてもらえませんでした・・・)

卒業した高校は「自分の名前を漢字で書ければ入学できる」程度のレベルの学校で文系でして、おかげで数学や物理の知識は無いどころか算数の知識すら危うい始末・・・(未だに分数の計算も怪しいものです)

高校を卒業してからも「電気」や「通信」の教育を受けたことは無いのですが、何とか自力で前述の通りいくつかの電気・通信系の国家資格やベンダー資格を取得をしました。

受験勉強について

電気通信システム

電気通信システムは工事担任者取得のおかげで免除になりましたので勉強は不要でした。

伝送交換設備及び設備管理と法規

伝送交換設備及び設備管理と法規科目は1回目の受験で合格できましたので、勉強期間は半年程度でしょうか。

専門的能力(交換)

専門的能力(交換)は2回目の受験で合格できたので、勉強期間は約1年です。

合計1年間の勉強期間を費やしましたが、日々の勉強時間は最初の半年は3科目を勉強するので、1日に1科目あたり30分程度の学習(合計1時間~2時間)をして、後半の半年は専門的能力のためだけに1日あたり30分~1時間程度の学習時間を取りました。

正直なところ、1回目の受験で全科目合格できると思っていたので前半の半年は「まったり」と勉強していましたが、一番得意だった専門的能力を落としてしまったために、後半の半年は必死に「専門的能力(交換)」の勉強をしましたね。

勉強の流れ

受験を決意してから、まず最初に例の「高額な問題集」を【共通編】と【専門編】の両方揃って購入して何回か問題を解いてみました。

過去の問題がどのような出題傾向なのか、出題者のクセなどを知るためにも、とりあえず一度一通り問題にチャレンジして解説を読み漁り、二回目以降は出題された問題文章や解説文の中に知らない単語や技術・プロトコルなどが掲載されていたら、メモに残しておいて後から納得できるまでネットで調べて再度問題集を解いてみる・・・の繰り返しでした。

解く→調べる→解く→調べる→解く・・・を繰り返して最終的には自分で問題を解きながら、それぞれの技術について自分で他人に解説できるようにまでやりました。

伝送交換設備及び設備管理

伝送交換設備及び設備管理の参考書は「役に立たない」とネット上でささやかれていましたが、実際にその通りでした。

私自身があまりにも無知で心配性な為に伝送交換及び設備管理の参考書を数冊購入しましたが、多少は知識を高める効果はあったのかもしれませんけど電気通信主任技術者試験に合格するためには全く効果がありません。試験合格をターゲットにしているとは思えないほど的外れな内容ですしね。

私が購入したテキストで伝送交換設備及び設備管理の勉強に効果があったのは「日経ネットワーク」とテクニカルエンジニア(当時)のネットワーク・セキュリティの参考書あたりが相当役に立ったと思います。

あとは前項の通り、問題集を片っ端から解いてわからないところはネットで調べての繰り返しですが、伝送交換設備及び設備管理に関しては該当科目の問題だけでなく、専門編も隅々までやってみたことが効果があったと思います。

私は専門科目は【交換】を選択しましたが、無線・データ通信・伝送・通信電力も伝送交換設備及び設備管理では少なからず、何れかの専門科目の問題が出題されるので結局すべて勉強しておく必要がありました。

あと、伝送交換設備及び設備管理の特有の出題として信頼性の問題などがありますが、このあたりも計算問題を含めてネットからの情報だけでとりあえず対応できますね。

特に信頼性の計算は「ひろいんさん」の【資格取得のための信頼性計算】をキッチリやっておけばOKではないでしょうか。(https://ap2.sakura.ne.jp/hiroin/) ※編注:移転のため記載修正(2020-01-04)

法規

他の科目と比較して、法規科目だけは参考書を購入する価値は多少あるような気がします。

私は電気通信主任技術者試験対策研究会から出版されている【電気通信主任技術者法規試験対策】を購入しましたが、この1冊と問題集があればOKではないでしょうか?(暗記力に自信があれば、問題集だけでもいいんでしょうけど・・・)

法規科目の勉強方法は基本的に過去問に何回もチャレンジしてみて、問題文章が正しいのか、誤っている文章であれば「何処が間違ってるから誤りの文章なのか?」を判断できるようになるまで繰り返すことと、勉強の合間や通勤電車の中とか就寝前にベッドの中で上記の法規試験対策を読みふけっていました。

参考書の読み方は人それぞれでしょうけど、私の場合はいくら精読してもすぐには暗記できないので速読に近しいほどの速度で繰り返し法規試験対策を読みました。

日数をかけてじっくり読んでいると、日が経つにつれて最初に読んだあたりがあやふやになってくるので、それなら流し読みでも繰り返し何度も何度も読んだ方が効果があると思っています。

あと、私は「書いて覚える」というのが苦手なので法規試験対策を読むのに飽きたら、問題に頻出の法令や過去問の中で「正しい文章」を抜粋してテキストエディタなどに無心に入力して覚えました。(後にこのデータベースでタッチタイピングゲームとかを作ったり…)

専門的能力(交換)

初めての受験で「伝送交換設備及び設備管理」と「法規」が合格点に到達できたのに、この「専門的能力(交換)」を落としたのは非常にショックでした・・・

私は職業柄ということもありますが、工事担任者のAI/DD総合種で覚えた知識がある程度あったので交換に関しては自信があったのですが、自信があるが故に油断してしまい「合格点まで後一問」というところで合格を逃してしまいました。

おかげでこの科目だけ丸一年お付き合いすることになりましたが、その一年間の勉強方法は過去問のみです。

トラヒック系の計算問題も出題されますが、工事担任者にチャレンジしたことがある人なら大体クリアできるのでしょうけど、私にとって苦戦したのはアーランB式関連の問題でした。

算数すら苦手な私には数式の中にエクスクラメーションマークが出てくる意味すら解りませんでしたが、「階乗」の意味が分かれば何とかなりました。

階乗の意味が分かってきたら、繰り返し問題を解いているうちに極端な回線数でない限りある程度暗算できますもんね・・・(お恥ずかしい・・・) 

全体を通して

電気通信主任技術者の試験が「難関だ!」と仰る方もいらっしゃいますが、この電気通信主任技術者試験に対して私が感じたのは・・・

といった感じでしょうか?

確かに出題される範囲は非常に広大なので、勉強するのは大変ですが、科目合格の制度もあるので複数回受験する覚悟があれば「資格取得」自体はそれほど難しくは無いのではないでしょうか。(1回で合格するのは確かに難しいのかもしれませんが・・・)

全体的な勉強方法としては、前述していますが「問題を解く」→「調べる」の繰り返しでOKだと思います。例の問題集だけは買ったほうが良いと思いますが、それ以外の参考書は必要ありませんし、法規科目意外は暗記の必要もありません。

過去に出題された傾向の中から自分の知らないことや分らない技術について、キッチリと「理解」出来ていれば合格点に到達できると思います。

特に工事担任者→主任技術者の流れで受験を志す人は「暗記による勉強」に頼ってしまう傾向があるみたいですけど、電気通信主任技術者の試験では過去に出題された問題がそのまま再度出題される可能性は低いのですから丸暗記は効果的・効率的ではありませんし、どの科目でもそれほど深い知識が必要とされるような問題もあまり無いので、一つの技術に対して「深く・より深く」勉強するよりは浅くても「広く」勉強していくほうが良いようですね。

最後に、この電気通信主任技術者試験に合格するコツを一言で表すと・・・

「分らないことはキッチリ調べて身に付ける!」・・・かな?